「白旗神社」秋の例祭の特殊神事「湯立神楽」が10月28日に執り行われました。藤沢市指定重要無形民族文化財の「白旗神社・湯立神楽」は、江戸時代から受け継がれてきた神職が演じる格調高いお神楽で、大釜に熱湯をたぎらせ湯華(湯玉)の立ち昇りでその年の吉凶を占う神事です。
「湯立神楽」は約800年前に京都の石清水八幡宮から鎌倉の鶴岡八幡宮に伝わった「神楽」と言われ、両社では一時期途絶えことで原型を残しておらず、藤沢で行われている「神楽」が原型に一番近い神事とされている、と言われています。
1座「打囃子」(舞子はいないお囃子合奏)からはじまり12座「毛止幾」(黒面の神が全ての人の心に平安と安らぎを取り戻させる神楽)まで、神職が舞うという格調高い珍しい神事で、「藤沢の湯立神楽」が正式な名称となっています。
境内に五色の注連(しめ)と竹で作られた天神蓋(てんがい)を飾った斎場を作り、産土の神(氏神)、火の神、水の神をお招きして、大釜に水を満たして火を焚き、温湯を焚き、熱湯をたぎらせ湯立ての結晶をいただいて災いを除き、福を招く祈願をする神事です。
形
大釜でたぎられた熱湯の湯華(湯玉)の立ち昇りでその年の吉凶を占います。また神楽中に湯しぶきを浴びると無病息災に、中盤では赤飯・お神酒を召し上がっていただき神様のお力を体内に取り入れ、山の神に泣かされる子供は素直に成長すると謂われ、最後の座では神がお餅を撒きながら皆さんに幸福をお頒け致します。
<1座「打囃子(うちはやし)」> 笛、太鼓、大胴の楽器によってこれからの奉仕に備え祈念をし心意気を高め調子を備えます。
<祝詞奏上>
<2座「初能(はのう)」> 宮司が左手に広げた扇に洗米をのせ、右手に鈴を持ち四方にお米を散布して、諸々の霊を和め清める舞です。
<3座「御祓」(おはらい)> お神酒とおお祓いの道具を持ち舞に使う道具・斎場(神様が降臨される場所、釜場,火、水)を祓い清め、神様の降臨を待ちます。
<4座「御幣招(ごへいまねき)> 神 様の対象となる産土神・火の神・水の神をお招きする舞。舞が終わると参列者の皆さんに恩頼(神様の御霊魂)を」を授づける神事に移ります。
<5座「湯上(ゆあげ)」> 火火の神、水の神が結び付いて出来た熱湯に湯たぶ(笹)を浸し、熱湯を桶に汲み取り、神前に捧げます。
<6座「中入れ(なかいれ)> 前半の清め,袚い、神招きが終了して短い休憩となります。神前にお供えされているお神酒と赤飯が参列者に分かちます。
(
<7座「掻湯」(かきゆ)> 煮えたぎった釜湯を御幣の串でかき回すと渦巻が生じて湯玉が立ちのぼり、湯玉の湯立ちによってその年の吉凶を占った「湯立神楽」を象徴する舞です。
<8座「大散供」(だいたくさん)> 2座目の二人舞の形でこのお祭りに招かない八百万神に洗米を散供し、四方を和め鎮めます。勇壮かつ優美な2人舞です。
<9座「湯座(ゆぐら)> 所謂「笹の舞」で二人の舞手が笹の葉で四方を舞い鎮めたあと釜湯で笹を浸して、参列者の頭上に散します。このしぶきを浴びると災難病魔を祓い除けると言われています。
<10座「射祓」(いはらい)> 弓と矢を用いて四方八方にいる悪霊を追い払う舞。放たれた矢を拾い授かると開運招福、息災延命を授かると伝えられています。
<11座「剣舞」(けんまい)> 赤い面を付けた天狗が剣を持ち、悪しき大気を体内に吸い込み浄化させ,二本の指で空中に九字を切り,護身、除災、勝利のまじないしながら豊年万作、大魚満足、天下泰平を祈念し天地運行の乱れを正します。
<12座「毛止幾」(もどき)> 剣舞の途中より黒面の山の神が現れ、滑稽な仕草をしながら斎場にいる全ての人の心に平安と安らぎ取り戻させる「もどき」で神楽はここで終了します。黒い面の山の神は神社での神事に参列され緊張された方が家の帰る前に普段の生活に戻す舞です。、
<「神楽」修了後はお餅(福餅)のお配り>
く「神楽」の説明をされる宮司〉
「神楽」が終わると斎場に取り付けられた紙垂(しで)を持ち帰り家の神棚に祀り、禍除けにする風習があります。
今年の「湯立神楽」も無事お開きになりました。神事をご覧頂いた皆さんにお餅が配られました。来年の10月28日にも多くの皆さんがご臨席頂ければと思います。今年も残す2か月。「白旗神社」をお参りして健康で毎日をお送りください。
参考資料:白旗神社「湯立神楽」解説紙
藤沢宿 ”わくわく藤沢宿通信” №71
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